日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
脊髄小脳変性症に対する抑肝散の治療効果
小川 達次木村 格
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 45 巻 2 号 p. 359-364

詳細
抄録

脊髄小脳変性症8例 (オリーブ核・橋・小脳萎縮症3例, 晩発性小脳皮質萎縮症2例, 家族性脊髄小脳変性症3例: 平均年齢59.3±11.3歳) に抑肝散を15日間投与し, その有用性を検討した。カウンタータッピング, 重心動揺面積と距離, 排尿回数, 臥位血圧と脈拍は有意の変化を示さず, 起立性低血圧の改善もみられなかった。しかし, 日常生活動作評価点 (総計100点) は74.8点から81.0点へと有意に改善した (P<0.05)。「立位や歩行時の安定」,「めまい感軽快」,「上肢が軽くなった」などの自覚的改善は, 8例中6例に認められた。OPCA症例では上記の改善は一時的ではあったが, 根本的な治療方法のない脊髄小脳変性症に対しては, 抑肝散をはじめとする漢方治療も試みる価値があると考えられた。

著者関連情報
© 社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top