日本東洋医学雑誌
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Streptozotocin 誘発糖尿病マウスにおける防已黄耆湯の血糖降下作用 -日本産防已と粉防已に関する比較検討-
劉 園英古林 伸二郎牧角 和宏紺谷 仁堤 太樹
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1999 年 49 巻 4 号 p. 607-615

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抄録

インスリン非依存性糖尿病態 (NIDDM) モデルマウスを対象とし, 粉防已 (Stephania Radix) 及び防已 (Sinomeni Cauliset Rhizoma), 両者を用いた防已黄耆湯 (Fang-ji-huang-qi-tang) の血糖降下作用を比較検討した。Streptozotocin (STZ, 150mg/kg) を5週齢のddY系雄性マウスの尾静脈内に単回投与して, NIDDMモデルマウスを作成した。14時間絶食させたマウスの腹腔内に薬物を投与し, 薬物投与前と投与4と6時間後に採血し, その血糖値を測定した。粉防已と粉防已を含む防已黄耆湯 (以下, 防已黄耆湯 (粉) と略す) は正常マウスの血糖値とSTZ-マウスの高血糖値の両方を低下させた。防已と防已を含む防已黄耆湯 (以下, 防已黄耆湯 (防) と略す) はともに血糖を降下させる傾向を示したが, それらの作用はそれぞれ粉防已や防已黄耆湯 (粉) より有意に弱かった。Positive control として用いた経口糖尿病治療薬 glibenclamide の作用は防已黄耆湯 (粉) より強力であったが, その作用開始時間は防已黄耆湯 (粉) より遅かった。以上の結果から, 防已黄耆湯は現在, 利水剤として用いられているが, NIDDM患者に対しても臨床的に応用するための基礎的証拠を示し得た。

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