日本東洋医学雑誌
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遷延した下肢蜂窩織炎に治打撲一方が奏効した一例
野上 達也関矢 信康喜多 敏明柴原 直利嶋田 豊寺澤 捷年
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2003 年 54 巻 4 号 p. 781-784

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抄録

2週間の抗生物質の経口投与にて改善しなかった, 左下肢の蜂窩織炎に対して, 治打撲一方を投与したところ速やかに改善した一症例を経験した。症例は29歳, 男性。6ヵ月前に左膝関節手術を受けた。術後経過は良好であった。しかし, 微小な擦過傷から左下腿に蜂窩織炎を発症し, Cefditoren 300mgの経口投与を2週間受けたが改善せず, 治打撲一方エキス7.5g/日の内服を開始したところ, 3日間の経過で自他覚所見は軽快し, 1週間後には炎症所見も消失した。四肢の手術後で循環不全がある症例における蜂窩織炎に対して漢方薬による随証治療が有効である可能性が示唆された。

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