日本東洋医学雑誌
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GnRHアナログを処置した雄性ラットのCGRP誘発皮膚温上昇に対する桂枝茯苓丸の抑制作用
譲原 光利野口 将道五十嵐 康加瀬 義夫竹田 秀一油田 正樹
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2003 年 54 巻 4 号 p. 791-795

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抄録

雄性ラットへの性腺刺激ホルモン放出ホルモン (GnRH) 誘導体 (リュープリン®1.0mg/kg, s. c.) 処置は, 血中テストステロン濃度を著しく低下させ, カルシトニン遺伝子関連ペプチド (CGRP: 10μg/kg, i. v.) 投与による皮膚温上昇反応を偽処置ラットに比べ有意に増強した。テストステロン (1.0mg/kg, s. c.) の補充は, 血中の同ホルモン濃度の上昇を伴ってこの温度増強反応を改善した。一方, 桂枝茯苓丸 (1,000mg/kg, p. o.) および17β-エストラジオール (0.010mg/kg, s. c.) は, テストステロン濃度を上昇させることなく増強反応を改善した。これらの結果は, 桂枝茯苓丸および17β-エストラジオールは, 前立腺癌のGnRH誘導体治療 (男性ホルモン製剤禁忌患者) においてしばしば発現するホットフラッシュに対し, 有効な治療薬となりうる可能性を示唆した。

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