日本東洋医学雑誌
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随証治療で治癒した肺炎3症例の検討
犬塚 央貝沼 茂三郎永嶺 宏一宮坂 史路岡 洋志野上 達也木村 豪雄三潴 忠道
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キーワード: 肺炎, 漢方治療
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2006 年 57 巻 2 号 p. 217-224

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抄録

漢方治療単独で治癒した肺炎3症例を経験した。症例1は69歳女性。主訴は咳, 発熱。桂枝二越婢一湯を投与したところ, 速やかに咳の軽減と解熱傾向を認めたため, 証に随い漢方治療を継続した。第8病日には浸潤影が消失し, 第11病日, WBC, CRP共に正常化した。症例2は66歳女性。主訴は咳, 痰, 発熱。近医で肺炎と診断され1ヵ月間西洋医学的治療をうけたが改善せず, 柴胡桂枝乾姜湯合半夏厚朴湯を投与したところ徐々に解熱し咳, 痰が減少。第16病日にはCRP0.7mg/dlと低下し浸潤影も消失。症例3は78歳男性。主訴は咳, 痰, 食欲低下, 倦怠感。CTで肺に多発結節影を認め, 鑑別診断のため諸検査を行いながら柴胡桂枝湯を投与した。最終的には確定診断に至らず, その間に解熱し検査所見も改善したため抗菌薬は使用しなかった。以上より, 証に随えば抗菌剤を使用することなく漢方薬のみで肺炎を治療することも可能であると思われた。

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