抄録
本研究は,新しい流域変遷の検討法を用い,過去20-30年間における河川流域環境及び物質循環の変遷とその要因について推定することを目的とした。青森県内を流れる17か所の小河川を対象に,1980年代と2000年代に採集された魚類ホルマリン標本の炭素・窒素安定同位体比を比較した。また,河川流域における農地や市街地などの土地利用状況の変化や河川改修履歴を調査し,結果を照らし合わせた。その結果,土地利用の変化に伴う人為的影響の増減や下水道整備の推進に伴うδ15N値の変化が確認された他,河川改修が行われた河川では複数種の魚類で同位体特性が類似するようになり,魚類を中心とした食物網の単純化が認められた。