人間と環境
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研究ノート
インドネシア産サトウヤシ砂糖の化学的組成とGI 値の特徴
佐藤 輝久野 真希子矢田 誠仲摩 栄一郎
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2020 年 46 巻 1 号 p. 18-23

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抄録

持続的な森林保全にむけて重要な非木材林産物としてサトウヤシ(Arenga pinnata)砂糖をインドネシアから日本にフェアトレードで輸入するにあたり,この有効成分や安全性について測定した。様々な化学的組成分析の結果(砂糖100 gあたり),水溶性ビタミンのうち,特にナイアシン(3.27 mg)と葉酸(41 μg)が黒砂糖と比べても多く含まれていた。また,ビタミン様物質のイノシトール(239 mg)と色素・苦味成分のポリフェノール(300 mg)も比較的高いことが明らかとなった。一方,食後の血糖値の上昇度を示す指標であるglycemic index値(平均±標準偏差,n =12)は66±17となり,白砂糖のそれ70±35との有意差がなく,中GI食品と分類された。安全性については,大腸菌群,一般生菌数,カビ,芽胞数はすべて日本の食品衛生基準値以下であり,残留農薬(245化合物)とアフラトキシン類は不検出,重金属の鉛,ヒ素,総水銀,カドミウムも不検出だった。以上から,サトウヤシ砂糖はナイアシン,葉酸,イノシトールおよびポリフェノールの含有を特長とした高付加価値商品として展開できると評価した。

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© 2020 日本環境学会
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