人間と環境
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研究ノート
2020年7月以前のレジ袋有料化の普及について
堀 孝弘
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2022 年 48 巻 2 号 p. 2-11

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抄録

2020年7月,全国の小売店でレジ袋の無料配布中止・有料化が一斉実施された。このことはシングルユースプラスチック削減のきっかけとして期待できる。この背景に2006年度の容器包装リサイクル法改定後,各地で事業者,行政,市民団体によるレジ袋削減協定等が締結されるなど,熱心な活動があったことは言うまでもない。ただし,全国一様に取組が行われたのではなく,有料化協定の締結に至った地域もあれば,マイバッグ持参呼びかけにとどまった地域もある。プラスチックの総量抑制は世界的な課題であり,レジ袋の有料化はゴールではなく,まだ多くの課題が残っている。地域ごとの取組の差の要因は一概に説明できないが,今後のシングルユースプラスチックの削減を進めていくうえで,レジ袋有料化の取組が2020年7月以前,全国でどこまで広がっていたか押さえておく必要があると考える。

有料化の効果についてはすでに多くの研究や調査があるが,有料化実施店での削減量を積算した報告が多く,環境省の全国的な調査にもいくつかの限界がある。本稿では,先行研究および京都市の家庭ごみ調査から,レジ袋有料化による有料化未実施店を含めた地域単位での削減期待値を示した。

そのうえで,県単位のレジ袋有料化の取組実態を調査し,「県主導のレジ袋有料化推進の取組(協定等)の有無」で分け,さらに県内への浸透など,計6類型で分けた。これにより,県単位での有料化普及で成果をあげた地域と,取組が弱かった地域のカバー人口がほぼ同数になることを明らかにした。

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