感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
原著
2008~2009 シーズンの庄内地域におけるインフルエンザ外来患者からみた医療施設への負荷の検討:新型インフルエンザA(H1N1)を視野に入れて
貫和 奈央神垣 太郎橋本 亜希子河村 真人玉記 雷太押谷 仁
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 84 巻 1 号 p. 52-58

詳細
抄録

これまで我が国においてインフルエンザ流行時にインフルエンザ患者がどの程度医療施設へ集積するのか分かっていない.そこで,我々は2008/09 シーズンに山形県庄内地域における医療施設の外来受診状況を調査し,季節性インフルエンザによる医療施設への負荷を評価した.その結果,インフルエンザ患者受診数は病院で最も多かったが,外来受診者全体に対するインフルエンザ患者の占める割合が最も高かったのは小児科診療所であった.さらに,厚生労働省の発表した新型インフルエンザの推定発症率をもとに庄内地域における新型インフルエンザの患者発生数の推定を行ったところ発症者総数は59,600-89,400 人と推定できた.今回の結果より,今冬新型インフルエンザ患者が2008/09 シーズンと近い医療受療行動をとった場合,病院外来および小児科標榜診療所へ著しい負荷の増加が予想され,その対策が必要と考える.

著者関連情報
© 2010 社団法人 日本感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top