感染症学雑誌
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原著
1% クロルヘキシジンアルコール皮膚消毒による血液培養の汚染率に与える影響の評価
大手 裕之須垣 佳子西川 佳友南 仁哲川端 厚
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2018 年 92 巻 1 号 p. 46-50

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抄録

10%ポビドンヨード(以下PI)の使用時には塗布後2 分以上待つことで消毒効果が発揮されるとされている.トヨタ記念病院では繁忙さゆえ,血液培養採取時のPI による皮膚消毒時に2 分間の消毒時間が必ずしも徹底されてこなかった.NICU を除く全病院内を通じて2014 年10 月より血液培養採取時の消毒薬を消毒効果に速効性があるとされる1%クロルヘキシジンアルコール(以下CH)に切り替えた.切り替えた前後での汚染率および汚染菌を比較することにより,CH の消毒効果について検討した.2013 年10 月~2014年9 月の1 年間(第1 期:PI 期)と2015 年1 月~2015 年12 月の1 年間(第2 期:CH 期)の汚染率を2 群間で比較した.2014 年10 月~12 月については移行期間として検討から除外した.CH 期ではPI 期に比較して汚染率が有意に低かった(p<0.0001).病棟・ICU と外来部門での汚染率の減少は同等であった.汚染菌の比較では,PI 期に比較してCH 期ではCoagulase-negative staphylococci(CNS)が有意に減少した.Bacillus spp.やClostridium spp.にはCH の優位性は認められなかった.入院部門,外来部門いずれにおいても,血液培養採取時のCNS による汚染の予防にPI よりもCH が推奨される.

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© 2018 一般社団法人 日本感染症学会
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