感染症学雑誌
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原著
Exfoliative toxin,Panton-Valentine Leukocidin 産生メチシリン耐性黄色ブドウ球菌臨床分離株における毒素産生と POT 型の関連性について
宮本 仁志鈴木 崇村上 忍越智 史博末盛 浩一郎田内 久道
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2018 年 92 巻 5 号 p. 663-669

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抄録

Exfoliative toxin(ET)またはPanton-Valentine Leukocidin(PVL)は,methicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA)の病原因子であり,感染症病態に関与していると考えられているが,ET およびPVL 産生株の遺伝子型相同性については明らかになっていない.そこで,我々は,2010 年1 月~2017 年12 月に愛媛大学医学部附属病院で分離されたET またはPVL 産生MRSA 40 株を対象とし,毒素型,薬剤感受性試験に加えてPCR-based open reading frame typing(POT)法による疫学的解析を行った.ET-A 産生株は22 株すべて70-18-81,ET-B 産生株は10 株すべて73-152-80 となりET 産生株は同一のクローンと判定された.また,薬剤感受性においてもET-A 産生株は80%,ET-B 産生株は100%同一のパターンを示した.PVL 産生株においては106-77-113(5 株),64-88-19(2 株),110-16-49(1 株)の3 種類検出されており複数のクローンが存在するものと考えられた.
今回の検討より,ET 産生株においては同一クローンの可能性が高いことより,POT 型より毒素産生株を推測できる可能性の高いことが示唆された.またPVL 産生株においては,複数のクローンが存在しているが,106-77-113 およびPOT1 型が64,110 の株もPVL 産生株の可能性が高いことを確認し,POT の分類が毒素産生を反映しているため,有効な株識別法であると考えられた

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© 2018 一般社団法人 日本感染症学会
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