感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
原著
COVID-19における,宿泊療養開始時期と家庭内感染予防効果について
船山 和志
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 95 巻 6 号 p. 391-395

詳細
抄録

国はCOVID-19 の家庭内感染予防のために宿泊療養を推奨しているが,療養開始時期と家庭内感染発生率の関係は明らかになっていない.COVID-19 は発症2日前から感染性があり,発症直後にウイルス量が最も多いと言われていることから,診断後早期に宿泊療養を開始しても,既に家庭内感染が成立している可能性も考えられた.そこで我々は,宿泊療養を行った家庭内での初発患者1,075名を対象に,発症2日前から療養開始までの期間(感染曝露期間)と家庭内感染発生率の関係を検討した.同居する世帯で1名以上2次感染者が発生した場合に家庭内感染発生ありとし,家庭内感染が発生した世帯数を,対象の全世帯数で除したものを家庭内感染発生率とした.感染曝露期間ごとの家庭内感染発生率では,3 日までは発生がみられず, 7 日で22.6%(95%信頼区間16.9%~29.5%),12 日以上では45.5%(95%信頼区間21.3%~72.0%)となっていた(回帰式y=0.037x-0.047 R2=0.863 p<0.01).本研究の結果からは,感染曝露期間が長いほど家庭内感染発生率が上昇しており,感染曝露期間が7日内(発症後5 日以内)に施設療養を行えば,家庭内感染発生率を半減(7日間22.6%,12日間以上45.5%)できる可能性が示唆された.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top