感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
原著
SARS-CoV-2遺伝子検査陽性検体におけるウイルス分離と迅速抗原検出の検査成績の関係についての解析
西村 秀一太田 玲子大宮 卓北井 優貴勝見 正道
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 97 巻 4 号 p. 117-124

詳細
抄録

周囲への感染リスクを有するCOVID-19感染者を検出するために迅速抗原検査を用いたスクリーニングを行うことの妥当性の有無を知る目的で,COVID-19患者/疑い患者ならびに無症状の患者濃厚接触者から採取した鼻咽頭拭い検体の中で定量的リアルタイムRT-PCR検査でSARS-CoV-2遺伝子が検出された162検体について,ウイルス分離を試み分離陽性検体を101検体得た.また,これらの162検体について本邦で市販されていた5社5種類の簡易迅速抗原検出キット製品を用いた抗原検査を試みた.PCRで得られた検体中のウイルス遺伝子コピー数のデータとウイルス分離成績の結果をあわせ,用いた製品ごとに解析した.その結果,被験者の症状の有無にかかわらず,すべてが感染性ウイルスが分離された検体の95%以上に陽性を示し,このような検査対象集団においては迅速抗原検査に感染伝播リスクの見逃しが少ないことがわかった.

著者関連情報
© 2023 一般社団法人 日本感染症学会
次の記事
feedback
Top