感染症学雑誌
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実験的細菌感染症に対する静注用免疫グロブリン製剤の効果
抗生物質との併用実験を中心として
砂川 慶介秋田 博伸山下 直哉城崎 慶治岩田 敏岩崎 由起夫佐藤 吉壮東條 雅宏小佐野 満市橋 保雄
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1982 年 56 巻 12 号 p. 1196-1202

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抄録

免疫グロブリン製剤の細菌感染症に対する効果を検討する目的で, P. aeruginosa, K. pneumoniae, S.marcescens をマウス腹腔に接種し実験的感染症のモデルを作製し, これに各種の静注用免疫グロブリン製剤 (Pep-lg, PEG-Ig, S-lg) 及び抗生剤 (CTX, PIPC, TOB) を投与し, これら薬剤の単独での効果, 抗生剤とPep-lgの併用効果を検討し, 以下の結果を得た.
1) P.aeruginosa感染症に対し, Pep-Ig, PEG-Ig, S-Igはいずれも腹腔内単独投与で有効であった.
2) Pep-lg, PEG-lgは腹腔内投与の方が静脈内投与よりも生存率が高く, Pep-Igの検討では投与量を多くすると生存率は上昇し, 投与菌量を増量するとPep-Igの効果は低下し, 一定量以上の免疫グロブリンが必要である事が推測された.
3) いずれの菌, 抗生剤の組み合わせにおいても, 抗生剤とPep-Igの併用効果が認められた.
4) 各免疫グロブリン製剤中の使用菌に対する抗体価を測定したところ, Pep-IgとPEG-Igの間に著明な差はなく, P.aeruginosa, K.pneumoniaeに対しS-Igの抗体価がやや低いという結果が得られた.
5) Pep-lgの感染に対する効果は, 抗体価, 食菌作用の増強, 補体alternativepathwayの活性化に関係がある事がうかがわれた.
以上の結果より, 抗生剤とPep-lgの併用はP. aeruginosa, K. pneumoniae, S. marcescens 感染に対し有効な治療法であると考えられた.

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