感染症学雑誌
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山口県におけるジフテリア抗毒素の血清疫学的調査
板垣 国昭岩崎 明片山 淳中尾 利器川口 信行田中 一成
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1982 年 56 巻 3 号 p. 200-206

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抄録

1977年12月から1980年9月の期間に, 山口県内の母親とその新生児および0~11歳児の血清638件について, VERO細胞をもちいたカラーチェンジを指標とした微量培養定量法により, ジフテリア抗毒素価の測定を行い, 次の結果を得た.
1) 年齢群別抗毒素保有率は, 母親年齢: 39.3%, 新生児: 39.3%, 0~3ヵ月齢児: 1.3%, 1~2歳児: 15.3%, 3~5歳児: 73.4%, 6~11歳児: 88.7%であった.
2) 年齢群別平均抗毒素価は, 母親: 0.01×22.1 (IU/ml), 新生児30.01×21.8 (IU/ml) であり, 0~11 歳児では, 3~5歳児: 0.01×24.3 (IU/ml) をピークに6~11歳児: 0.01×23.7 (IU/ml) で低下傾向を示した.
3) ワクチン接種歴別抗毒素保有率は・接種歴のない群: 9.0%に対して, 接種歴を有する群では, I期接種者: 72.6%, II期接種者396.6%, III期接種者: 100%であった.
4) ワクチン難歴別平均抗毒素価は, 接観のない群: 0.01×21.9 (IU/ml) に対して, 雛歴鮪する 群では・I期接種者: 0.01×23.4 (IU/ml), II期接種者: 0.01×24.0 (IU/ml), III期接種者: 0.01×25.6 (IU/ ml) であった.
5) 新生児と0~3ヵ月齢児の保有抗毒素は母親の移行抗毒素と思われる
6) 移行抗毒素の消失後における抗毒素保有率およびその抗毒素価は, ワクチンに密接に依存しているものと思われる.

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