感染症学雑誌
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臨床材料よりのPseudomonas putrefaciens分離例
甲田 雅一富川 久美恵前田 尚廣奈良 和子横山 祐子松崎 廣子千田 俊雄中谷 林太郎
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1982 年 56 巻 9 号 p. 747-752

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抄録

直腸部分泌液 (1例)・便 (1例)・尿 (3例)・中耳炎耳分泌物 (1例)・胆汁 (2例) より分離したPseudomonas putrefaciensの細菌学的特徴と, DNAの塩基組成及び抗生物質感受性を調べた.
分離菌はすべてチトクロームオキシダーゼ試験陽性, 硫化水素を産生し, 糖分解試験ではグルコース, サッカロース, ラクトースともに陰性で, 従来この種の菌には使用されていなかったTCBS寒天培地に発育した. これらの成績から, TSI寒天培地で高層, 斜面ともに糖非分解性で, 硫化水素を産生し, TCBS寒天培地に発育する菌はP. putre faciensであると推定診断を下してもよいように思われた.
分離菌のDNAのGC含量は, 47.3%, 53.1%及び54.0%の3種類であった.この成績と37℃での発育, SS寒天培地での発育等より, 47.3%のものはOwenの分類のGroup IIIに, その他はGroup IVに属すると考えられた.
本菌はLCMには耐性を示したが, 他の多くの抗生物質には感性であり, EMに対してさえ感性を示した.ペニシリン系の抗生物質に対しては, 35℃ と25℃ で感受性に差が見られた.

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