感染症学雑誌
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サルモネラ菌症の予防に関する基礎的研究(6)精製S. enteritidis SPAの感染防御機構における細胞性免疫について
神谷 和人杉原 久義
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1983 年 57 巻 1 号 p. 33-39

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抄録

精製SPA免疫マウス腹腔より得たマクロファージ (含リンパ球) は精製SPAあるいは死菌体の添加により遊走が阻止されたが, 非免疫マウスのそれは阻止されなかった. 精製SPA免疫マウスより得た腹腔細胞, 脾臓リンパ球あるいは胸腺を正常マウスに移入し, 100LD50S. enteritidisで攻撃してもほとんど生存する (30日観察) が, 非免疫マウスよりのそれらを移入されたマウスは攻撃によりすべて死亡する.
非免疫マウス脾臓リンパ球を正常マウスに移入し, 1日後に100LD50の菌量で攻撃すると, 3日後には血中で106/ml, 肝, 脾臓中では108/9の菌数に達しすべて死亡する. しかし免疫マウスの脾臓移入群の菌数はその域には達せず, しだいに減少し, ついには検出されなくなった.
正常マウスをカラゲナン200mg/kgの割合で処理し, このマウスに免疫一マウス脾臓リンパ球を受身移入しても, 100LD50の菌量の攻撃を防御できず, マウスはすべて死亡した.
免疫マウスの腹腔マクロファージはS. enteritidisに対する殺菌能が充進していた.

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