1983 年 57 巻 1 号 p. 46-52
1979年8月から1981年8月までにタイ国およびマニラの患者から分離された136株のインフルエンザウイルスの抗原分析を, 感染フェレット血清を用いるHI試験により行なった. 1980年の雨季のタイおよびマニラでは, 主にH3N2が流行し, 1981年のタイでは, 主にHIN1が流行した. A/USSR/92/77およびA/Brazil/11/78様ウイルスは, タイでは日本より長期間存続した. N3N2の新しい変異ウイルス, A/京都/C-1/81様ウイルスは, 日本より6ケ月先立って, 1980年8月にバンコックではじめて分離され, 1981年1月および8月に再びバンコックで分離された. B型は, 1980年以降にタイ国およびマニラで分離され, それらは同じ時期の日本分離株と同様であり, 新しい変異ウイルス, B/志賀/75/81様ウイルスは, タイ国では日本より約6ケ月おくれて分離された.