抄録
感染症に併発するDICに対し, アンチトロンビンIII濃縮製剤を用い, 治療効果の検討を行なった. 投与総症例は45例であり, 11例が薬効評価上, 除外された. 分析例34例中, 出血症状があったものは20例であり, うち, 14例 (70%) に症状の消失が認められた. 臨床症状の改善率は69.7%, 凝血学的改善率は, 81.8%であった. ヘパリン血液製剤等の併用薬の有無別に, 臨床症状, 凝血学的改善率をみると, 本剤単独投与でそれぞれ71.4%, 85.7%, 併用例でのそれは, 70.0%, 80.0%であった. 本剤に起因すると考えられる副作用, 臨床検査値異常例は, 45例全例に認められなかった.
以上の成績から, 感染症由来DICに対するアンチトロンビンIII濃縮製剤の有用性は, 十分示唆されたものと考えられた.