感染症学雑誌
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抗菌剤耐性乳酸菌製剤の細菌学的検討
含有生菌数, 耐性菌数, 安定性について
有田 美知子本田 武司三輪谷 俊夫
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1986 年 60 巻 3 号 p. 239-243

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抄録

国内で市販されている抗菌剤耐性乳酸菌製剤6品目の含有生菌数, 耐性菌数及び保存・安定性について検討した.検討した製剤は現在4社から市販されているA (Enterococczts faecalis製剤, 粉末), A'(同, 錠剤), B (E. faecalis製剤, 粉末), B'(同, 錠剤), C (E. faecalis, Lactobacillucs acidophilus, Bifidobacteria配合剤, 粉末) 及びD (L. acidophilus, L. lactis, Streptococcus lactis配合剤, カプセル) である.生菌数は, B, B'が最も高く108.1-8.4CFU/gで, A, A'は107.8-7.96CFU/gであった.Dは最も低く, 107.0CFU/g前後であった.各製剤に含まれるaminobenzylpenicillin (ABPC), tetracycline (TC), chloramphenychol (CP), erythromycin (EM) 及びcephalexin (CEX) 耐性菌の生菌数に対する割合をCaLA培地及び一般乳酸菌保存検出用培地を用いて調べた.両培地により検出耐性菌数はやや異なったが傾向としてA, A'ではいずれの薬剤に対しても50-100%であったのに対し, B, B', Cでは, TC, CP, EMに対する耐性菌の割合が低く, またDではABPC及びCP耐性菌は皆無に近かった.各製剤について種々の温度で保存し経時的に生菌数の推移を測定したところ, B, B'は極めて安定であり, 40℃, 30日間経過後も菌数の低下はみられなかった.A, A', Cは, 30℃, 30日間で, 約2分の1に減少した.Dは, 30℃及び40℃で極めて不安定であった.

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© 日本感染症学会
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