感染症学雑誌
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Avidin-Biotin系を用いたEnzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) 法による血中カンジダ抗原の検出法
第1報基礎的検討
鈴木 宏中村 明田口 英昭西村 和子宮治 誠
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1986 年 60 巻 4 号 p. 336-344

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抄録

近年, 増加傾向を示しているsystemic candidiasisの免疫学的血中抗原検出法として, 従来のELISA法より高感度のavidin-biotin系を用いたELISA法を開発し, マウスの感染実験を含めた基礎的検討を行なった.
検出感度は, 精製マンナン抗原を正常人血清に加えて測定した場合, 1.2ng/mlで, bufferでは0.25ng/mlであった.抗体の特異性に関しては検討した主要敗血症原因菌11種とCryptococcus neoformans, Aspergillus fumigatusには交叉を認めなかった.しかし, Candida属中, C.tropicalis, C.guilliermondii, C.stellatoideaの3種には強い交差抗原性を示した.また, ELISA inhibition assayで精製マンナン抗原と抗体とが特異的に反応することを確認した.
マウスの感染実験では, 血液培養は1例を除き陰性であったが, 26例中14例で抗原が検出された.Candidaの静注後早期で, 主病変が膿瘍のマウスでは, 高率に抗原が検出され, 膿瘍面積と血中抗原濃度には, 明らかな相関関係が認められた.一方, 病巣が広範囲におよんでも, 肉芽腫性病変を示すマウスでは, false negativeとなりやすく, 臨床応用する場合, 検体の採取時期が重要なポイントになると考えられた.
以上よりavidin-biotin系を用いたELISA法は手技も比較的簡便で, 検出感度も優れており又, Calbicansについで重要なC.tropicalisとも強い交差反応を示すことよりsystemic candidiasisの早期診断法として, 臨床応用可能と思われる.

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