感染症学雑誌
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Chlamydia trachomatis感染症診断試薬としてのChlamydiazymeTMの有用性
尿路性器感染症における検討
加藤 直樹坂 義人西浦 常雄熊本 悦明橋爪 壮小島 弘敬斉藤 功長田 尚夫野口 昌良中野 博
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1986 年 60 巻 4 号 p. 378-386

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抄録

Chlamydia trachomatisによる尿路性器感染症の診断試薬としてのChlamydiazyme (米国Abbott社) の有用性を, 臨床検体を用いて検討した.本法はChlamydia属に特異的な抗体を用いる抗原検出酵素免疫法 (EIA) で, 測定には約4.5時間を要する.本法によるNet吸光度0.100以上をC.trachomatis陽性と判定し, これらの成績を細胞培養法の成績と比較検討した.
未治療症例486例における培養法との陽性一致率 (sensitivity) は96.4%(132/137), 陰性一致率 (specificity) は92.3%(322/349) で, ともに高い値であった.このうち, 男性323例の陽性一致率は99.0%(102/103), 陰性一致率は91.4%(201/220) であった.一方, 女性症例163例の陰性一致率は93.8%(121/129) であったが, 陽性一致率は88%(30/34) で, 男性症例と比べやや低値であった.吸光度分布は陽性例の50.9%がNet吸光度2.00以上と高い値であった.治療前に培養とChlamydiazymeが共に陽性症例の抗菌薬投与中の成績は, 陽性一致率は98%(39/40) であったが陰性一致率が73%(16/22) と低値で, 治療中は培養陰性となっても抗原性は残りChlamydiazyme陽性となる傾向が認められた.保存日数は4℃ で1ヵ月以内であれば成績に影響はなかった.Chlamydiazymeは培養法との一致率が高く, かつ迅速, 簡便な診断法であり, 尿路性器におけるC.trachomatis感染症の診断に極めて有用と思われた.

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