感染症学雑誌
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肺ノカルジア症
本邦報告例の統計的観察
金子 保松本 裕池田 大忠伊藤 章大久保 隆男
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1987 年 61 巻 5 号 p. 606-614

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抄録

SLEの経過中に発症した肺ノカルジア症を2例報告した. いずれの症例も長期間のステロイドの内服あり, 発症後, 喀痰中からN. asteroidesを検出した. minocyclineとST合剤の投与により軽快したが, 症例1は6ヵ月後再発した.
本邦における内臓ノカルジア症の報告は増加する傾向にあり, その大半は免疫不全患者に発症している. 本症の予後は, 基礎疾患の重症度とともに, 中枢神経系の合併症の有無によって大きく左右される. 本症には有効な薬剤があるだけに, 免疫不全患者に発症した場合も治癒が期待でき, 早期診断・早期治療に努めることが必要と思われた.

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