感染症学雑誌
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HTLV-I-associated myelopathy (HAM) における肺病変
杉本 峯晴荒木 淑郎
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1990 年 64 巻 1 号 p. 12-18

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抄録

HTLV-I-associated myelopathy (HAM) の患者にはsubclinicalな肺病変 (T-lymphocytealveolitis) が合併している. この肺病変は同じHTLV-Iの感染でおこる成人T細胞白血病の肺病変とは異なり, 非腫瘍性のT細胞浸潤によって引き起こされるものである.
本疾患の発症機序はまだ明かにされてはいないが, 肺病変と脊髄病変の病理組織所見は極めて類似しており, 両病変の発症機序は同一であると考えられる. HAM患者の血清および気管支肺胞洗浄液 (BALF) には, T細胞活性化の指標である遊離IL-2レセプターが増加しており, かつ, 末梢血およびBALF中のT細胞はin vitroで培養すること自己増殖をする. また, 末梢血リンパ球の培養上清には遊離IL-2レセプターが増加している. 以上の結果から, HAM患者ではT細胞が活性化された状態にあり, この活性化T細胞が中枢神経病変および肺病変の発症機序に重要な役割を演じていると考えられる.

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