感染症学雑誌
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小児における重症並びに難治性感染症に対する静注用人免疫グロブリン (C-425) の臨床検討
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1990 年 64 巻 1 号 p. 34-53

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抄録

小児の重症感染症を主体に難治性感染症を含め, 新規液状静注用人免疫グロブリン製剤C-425の抗生剤との併用効果と安全性, ひいてはその有用性について検討を行った. その結果C-425はこれら感染症に対し, 有用な静注用人免疫グロブリン製剤であると考えられる成績が得られた.
対象は全国23施設に入院した重症感染症を主体に難治性感染症を含む患者で, C-425が投与された総症例は87例であった.
委員会における解析対象は61例で, 臨床効果は主治医判定では著効23例 (40.4%), 有効24例 (42.1%), やや有効7例 (12.3%), 無効3例 (5.3%), 判定不能4例であり, 有効以上の有効率は82.5%, やや有効を含めると94.7%であった. 委員会判定では著効27例 (44.3%), 有効18例 (29.5%), やや有効7例 (11.5%), 無効9例 (14.8%) であり, 有効以上の有効率は73.8%, やや有効も含めると85.2%であった. 細菌学的効果は, 起炎菌が確定された31例のうち菌の消長が追跡出来た19例にて検討を行ったが, 菌陰性化12例 (63.2%), 減少2例 (10.5%), 不変5例 (26.3%) で陰性化率は63.2%であった.
安全性については全87例中, 投与終了後2日目劇症肝炎で死亡した1例を除く86例が対象とされ, そのうち1例に発疹が認められた. また, 臨床検査値異常変動としてはGOT・GPT上昇5例, GOT上昇2例, GPT上昇1例の計8例に認められたがいずれも臨床上問題となるものではなかった.

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