1990 年 64 巻 1 号 p. 87-95
Chlamydia psittaci (鳥類由来株) の一律的且つ効率的な分離増殖法を検討するため, DEAE-dextran (D), 遠心吸着, Cycloheximide (C), これらの併用が感染増殖に及ぼす効果をHeLa229細胞の系で感染細胞の形成およびElementarybody (EB) 産生量を指標として調べた.
感染細胞形成の効果は鳥類由来10株とヒト由来1株 (Ito株) を用い, 無処理, D単独処理, C単独処理, およびD処理とC処理の2者併用でそれぞれ検討した. その結果, 最も効果的であった処理は11株中9株が2者併用で, 1株がD単独処理, 残りの1株はいずれの処理においても効果がなかった.
一方, EB産生の効果は鳥i類由来5株とIto株を使用し, 無処理, D単独処理, 遠心吸着単独, C単独処理, D処理とC処理の併用および, D処理, 遠心吸着, C処理の3者併用で検討した. 感染後48時間では6株中5株が2者併用, 1株は3者併用が最も効果的であった. また感染後72時間では6株中4株は2者併用, 2株が3者併用であった.
以上から, HeLa229細胞の系ではD処理とC処理の2者併用法が主に鳥類由来C. psittaciの効率的な分離増殖法になり得ると考えられた.