感染症学雑誌
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慢性下気道感染症に対するErythromycin長期化学療法の検討
第5報: 7年以上の経過を観察しえた症例について
三笠 桂一澤木 政好喜多 英二古西 満前田 光一竹内 章治浜田 薫国松 幹和今井 照彦佐々木 義明樫葉 周三成田 亘啓
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1992 年 66 巻 10 号 p. 1390-1395

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抄録

慢性下気道感染症に対するEM長期治療において7年間の経過を観察しえた9症例について臨床的検討を行った.1) 臨床効果は8例に有効以上であり, QOLの改善も8例に認められ, 細菌学的効果は7例で菌の消失を認めた.2) 副作用は認めなかった.3) PaO2の経時的変化は多くは1年以内にプラトーに達するが, それ以後でも上昇する症例があった.4) 7年間の感冒罹患回数は1人年平均約1.2回と少なく, 感冒を契機とする急性増悪などによる病状悪化で入院したのは2例のみであった.5) 粘液線毛輸送機構は検討しえた8例中EM投与後7例に改善がみられたが, 正常になったのは4例のみであった.改善がみられなかった症例の臨床効果はやや有効であった.
以上からEM長期治療は開始して1年以内に有効性が発揮され7年間以上継続しても有効性は低下することなく維持され, また, 患者のQOLが著明に改善される有用な治療法であることが確認された.

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© 日本感染症学会
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