感染症学雑誌
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コアグラーゼ陰性ブドウ球菌による尿路感染症患者の臨床的検討
徳永 周二大川 光央中嶋 孝夫山口 一洋西川 忠之石浦 嘉之小林 忠博久住 治男藤田 信一
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1992 年 66 巻 9 号 p. 1213-1217

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抄録

尿路感染症 (UTI) 患者におけるコアグラーゼ陰性ブドウ球菌 (CNS) の臨床的意義を明らかにする目的で, CNSが105cfu/ml以上分離された117例のUTI患者 (複雑性UTI, 106例;単純性UTI, 11例) の臨床的特徴を検討した. 複雑性UTI患者106例95例は無症状で, 11例 (10.4%) のみが尿路性器に由来すると考えられる発熱を有し, うち6例が尿路カテーテル留置患老であった. 一方, 単純性UTI患者は全例若い女性で, 典型的な急性膀胱炎症状を有していた. これらの結果から, 従来より尿道の常在菌であり単なるコロナイゼイションと考えられるがちであったCNSも尿路カテーテル留置患者や性的活動期にある女性では, 治療を要するUTIの原因菌となっていることが推察された.

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© 日本感染症学会
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