感染症学雑誌
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Gen-Probe Mycobacterium tuberculosis Direct Test (MTD) による肺結核患者の経時的観察
豊田 丈夫青柳 昭雄大角 光彦川城 丈夫
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1995 年 69 巻 3 号 p. 303-307

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抄録

Gen-Probe Mcobacterium tuberculosis Direct Test (MTD) を用いて臨床検体を経時的に検査することの臨床的意義について検討を行うため, 19例の肺結核患者について化学療法開始時より5カ月間毎月1回喀疾の塗抹, 培養およびMTDによる検査を行った.
1) 結核の活動性低下と共にMTD陽性率は低下がみられ, 入院時軽症ないし中等症の結核患者16例は治療開始4カ月後までにMTDは陰性化した.治療開始後5カ月後になおMTD陽性を示した3例 (15.8%) はいずれも入院時多量排菌の重症結核患者であった.
2) 全経過中MTD陰性は43検体にみられたが, 小川培地で培養陽性であったのは1検体 (2.3%) のみで, 残り42検体 (97.7%) は培養陰性であり, 小川培地陰性を感染性なしと仮定すれば, MTDは感染性のないことの迅速な判断に有用であった.
3) 小川培地で塗抹陽性培養陰性を示した12検体中11検体 (91.7%) がMTD陽性であり, MTDは非定型抗酸菌では陰性を示すため, 塗抹陽性培養陰性の場合の菌の同定に有用であった.

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