感染症学雑誌
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RT-PCR法を用いた新生児エンテロウイルス髄膜炎の検討
吉尾 博之山田 雅夫横井 順子岩本 あづさ中村 信溝口 由美子
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1997 年 71 巻 10 号 p. 1046-1050

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抄録

新生児エンテロウイルス感染症41例について, Reverse transcription-polymerase chain reaction (RT-PCR) 法を用いた髄膜炎の診断を含め検討した.髄膜炎の診断を髄液培養陽性, 髄液細胞数増加あるいは髄液RT-PCR法陽性のいずれかを満たす場合とすれば, 少なくとも31例 (76%) が髄膜炎と診断された. 髄液培養陽性は14/28 (50%) 例で, 内10例がRT-PCR法により検索可能で全例陽性であった. 髄液細胞数増加例ではRT-PCR法陽性は18/20 (90%) 例であった. 髄液培養陰性例あるいは髄液細胞数の増加を認めなかった例でRT-PCR法陽性例は, それぞれ6/13 (46%) 例, 5/14 (36%) 例であり, 髄液培養陰性で且つ髄液細胞数増加がなくRT-PCR法陽性は1/6 (17%) 例であった. RT-PCR法は新生児エンテロウイルス髄膜炎の診断においても従来法と比較して感受性, 特異性が高く, 迅速性があり患児をfollowする上でも有用と考えられた.

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