感染症学雑誌
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膿尿の評価における尿沈渣法と白血球直接算定法の比較
清田 浩大石 幸彦小野寺 昭一三木 健太上田 正山
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1998 年 72 巻 12 号 p. 1295-1299

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抄録

尿沈渣法による膿尿の評価の問題点を明らかにする目的で, 尿沈渣法を国際的な統一評価法となる白血球直接算定法と比較した.白血球直接算定法にはKOVA system®をもちいた.1995年3月に富士市立中央病院泌尿器科を受診した310例より採取した尿を対象として, 尿沈渣法と白血球直接算定法による膿尿の評価をおこない, 両法を比較した.その結果, 両法による尿中白血球数は良く近似した.しかし, 尿沈渣法での白血球数が1-4個/5HPFであるにもかかわらず, 白血球直接算定法で50個/μl以上であったものが2検体あった.これら2検体はいずれもesterase反応が陽性で, 104cfu/ml以上の有意の細菌尿が認められ, 尿のpHは8.5で, 尿比重は各々1.008, 1016あったことから, 遠心操作により尿中の白血球が破壊されたものと考えられた.従って, 尿沈渣法では白血球の破壊により膿尿を見逃す可能性があり, 膿尿の評価には, 尿沈渣法より白血球直接算定法の方が適すると考えられた.

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