感染症学雑誌
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成人における不活化インフルエンザワクチン1回接種法の有効性について
堀江 正知菅谷 憲夫三田村 敬子韮澤 真理高橋 浩治深澤 糾
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1998 年 72 巻 5 号 p. 482-486

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抄録

1996年冬, 20歳から60歳までの健康な労働者71人 (平均37.3歳) を対象として, 国産の不活化インフルエンザワクチンを用いて, 1回接種法と2回接種法による効果を比較した.A/山形/32/89 (HIN1) 型, A/武漢/359/95 (H3N2) 型, B/三重/1/93型のすべての型について, いずれの方法によっても, H1抗体価の幾何平均値および感染防御のレベルと考えられるH1抗体価128倍以上の対象者の割合が有意に上昇した.HlN1型で, 幾何平均HI抗体価は, 1回法で61.5から668.4, 2回法で85. 7から637.3に, また, 128倍以上のHI抗体保有率 (%) は, 1回法で36.5から96.2, 2回法で47. 4から94.7と上昇し, 1回法と2回法の間には有意差を認めなかった.他の型でも同様であった. インフルエンザワクチンの接種回数が1回であっても十分な効果が期待できることが証明されたことから, 広い対象集団への接種には1回法の効用のほうが大きいと考えられた.

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