感染症学雑誌
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二段階PCR法による咽頭スワブからのMycoplasma pneumoniae検出
岡崎 則男山井 志朗佐々木 裕子佐々木 次雄
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1998 年 72 巻 7 号 p. 742-746

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抄録

Mycoplasma pneumoniaeの16SrRNA遺伝子領域から設定した2組のプライマーを使用し, 二段階PCR法によるM. pneumoniae検出を検討した. 本PCR法では1.5fgのM. pneumonine遺伝子が検出可能で, M. pneumontae以外のヒト系マイコプラズマ11種および口腔内細菌4種の遺伝子は検出されなかった.M. pneumonine感染を疑われた急性呼吸器疾患患者322例の咽頭スワブにこの二段階PCR法を応用した結果, 陽性率は23.6%で, 一段階PCR (20.8%) および分離培養法 (20.2%) の陽性率より高かった. また, 培養あるいは血清抗体検査でM. pneumoniae感染が証明されたにもかかわらず, 一段階PCR法で陰性と判定された13例中7例が二段階PCR法では陽性となった. 更に一段階PCRでは増幅が不十分で, 判定に困惑した5例が二段階PCRにおいて明瞭な陽性を示した. 以上の成績から, 二段階PCR法は操作が煩雑ではあるものの, 臨床材料からのM. pneumoniae検出に有用な手段と考えられた.

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