感染症学雑誌
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じん肺症患者におけるMoraxella catarrhalis繰り返し感染の検討
大森 明美吉田 俊昭古川 佳奈高橋 淳持永 俊一永武 毅
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1999 年 73 巻 4 号 p. 311-317

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抄録

Moraxella catarrhalisは呼吸器, 耳鼻科領域感染症における主要な起炎菌であり, じん肺症患者での下気道感染症においてもHaemophilus influenzae, Sfreptococcus pneumosiaeに続く, 第3の主要な起炎菌である.じん肺症患者は気道感染を繰り返しやすく, そのコントロールが患者の予後にとって非常に重要である.
1988年1月~1993年12月に長崎労災病院に通院中のじん肺症患者のうち, 複数回のM. catarrhalisによるくり返しおよび持続呼吸器感染症を起こしているじん肺症患者9名 (管理区分4, 及び続発性気管支炎を有する管理区分2ないし3) の喀疾から得られた起炎性の明確なM. catarrhalis50エピソード, 50株を, Hind III, Hae III, Cla Iを用いたRestriction enzyme analysis (REA) により菌株の同一性について検討した.5カ月以内の間隔で検出された23株中12株 (56%) が同一株によるものであり, 6カ月以上ではすべて異なる株によるエピソードであった.特に同一株による13エピソード中12エピソードが3カ月以内に集中していた.

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