感染症学雑誌
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カカオマスの腸管出血性大腸菌O157: H7に対する抗菌効果の検討
高橋 俊雄田口 晴彦山口 博之大崎 敬子佐藤 進亀井 優徳橋爪 秀一神谷 茂
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1999 年 73 巻 7 号 p. 694-701

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抄録

カカオマスの腸管出血性大腸菌 (EHEC) O157: H7 006株に対する抗菌効果を検討した. カカオマス熱水抽出液はPBS中において飲用濃度に相当する3.5%添加で培養開始3時間以内にEHEC O157: H7を死滅させた. さらに, 増殖培地であるCAYE培地中においても8.0%添加により対照の1/10~1/100に増殖を抑制し, 結果としてベロ毒素の産生を対照の1/4~1/32に低下させた. また, カカオマス熱水抽出液はベロ毒素の細胞毒性を中和する効果は無かったが, ベロ毒素の標的細胞への結合を阻害した.
以上の結果から, カカオマスはEHEC O157: H7に対する抗菌効果を有しており, EHEC O157: H7の感染を防御する可能性が示唆された.

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