感染症学雑誌
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ノイラミニダーゼ活性を利用したA, B型インフルエンザウイルス迅速診断キットの臨床的検討
三田村 敬子山崎 雅彦木村 和弘菅谷 憲夫韮澤 真理高橋 浩治清水 英明平位 芳江渡辺 寿美今井 光信
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2000 年 74 巻 1 号 p. 12-16

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抄録

ノイラミニダーセ活性を利用して, A, B型インフルエンザウイルスを検出する迅速診断キットZstatFlu® (ZymeTx社, USA) の成績を, 小児科患者を対象として, ウイルス分離と比較して検討した.
咽頭スワブは, 98例の患者 (平均年齢6.0歳) から102検体を採取し, ウイルス分離陽性は43検体で, AH3N2が2株, Bが41株であった. ZstatFlu®の感度は67.4% (29/43), 特異度は62.7% (37/59) であった. 偽陽性22検体についてRT-PCRを実施し, 18検体はRT-PCR陽性であった.
鼻咽頭吸引液は, 74例の患者 (平均年齢8.1歳) から74検体を採取し, ウイルス分離陽性は54検体で, AH3N2が4株, Bが50株であった. ZstatFlu®の感度は48.1% (26/54), 特異度は90.0% (18/20) であった. EIAによる他の迅速診断キット (ディレクティジェンFluA ®, FLUOIA ®) と異なり, 鼻咽頭吸引液で, 感度が高くなる傾向は認められなかった.
RT-PCRとペア血清HI試験の結果をあわせて, 偽陽性は5検体のみで, ZstatFlu®の特異性と陽性的中率は高いと考えられた. しかし, 陽性検体の中でも, 発色の程度が極弱い, 弱陽性の検体が多く, 注意が必要である.
A, B型インフルエンザに効果のある, ノイラミニダーゼ阻害剤の発売も近く, A, B型とも検出できる迅速診断キットは, 有用であると思われる.

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