感染症学雑誌
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マクロライド長期療法中に肺炎球菌により急性増悪をきたした慢性下気道感染症例の検討
前田 光一三笠 桂一古西 満高橋 賢眞島 利匡村川 幸市善本 英一郎坂本 正洋成田 亘啓佐野 麗子増谷 喬之中村 忍
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2001 年 75 巻 10 号 p. 846-850

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抄録

マクロライド長期療法中に肺炎球菌により急性増悪をきたした慢性下気道感染症例16例18エピソードについて検討した.急性増悪の病態としては気管支炎が多く肺炎は比較的少なく, 重篤な例はみられなかった. 検出された肺炎球菌18株の薬剤感受性で中等度以上の耐性を示したものはエリスロマイシン (EM) が18株 (100%), クリンダマイシ (CLDM) とミノサイクリ (MINO) とが12株 (67%), アンピシリンが2株 (11%), セファゾリンとイミペネムとが0株 (0%) であり, EMと同時にCLDMとMINOにも耐性の株が半数にみられた. 治療はβラクタム系薬またはキノロン系薬を用い, 全例有効であった. 慢性下気道感染症の標準治療であるマクロライド長期療法中での肺炎球菌による急性増悪に対し, 現在のところこれらの治療で問題なく対処可能と考えられるが, 耐性化の動向には今後も注意が必要である.

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© 日本感染症学会
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