2003 年 77 巻 4 号 p. 219-226
深在性真菌症の高感度診断法として新たに開発されたβ-グルカンテストマルハは, 菌体の細胞壁構成成分の (1-3)-β-D-グルカンを検出するものである. 本報告では, β-グルカンテストマルハの性能を評価した.
β-グルカンテストマルハは, 既存の (1-3)-β-D-グルカンの測定法で指摘されているサルファ剤, 溶血, 免疫グロブリンG (IgG) の影響を受けるという問題点を克服しており, それぞれ200μg/ml, 500mg/dl, 6,000mg/dl以下の濃度ではこれらの影響を受けないことが確認された.
さらに投与薬剤の影響を調べるため, 深在性真菌症治療薬5種, 抗生物質8種, 合成抗菌薬1種, 輸液剤2種, 造影剤1種の影響を調べた結果, β-グルカンテストマルハは, これら薬剤濃度が実用的濃度下では, 深在性真菌症の診断への影響を受けないことが確認された.