感染症学雑誌
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エコーウイルス 13型無菌性髄膜炎の臨床的検討
樫山 誠也藤高 道子
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2003 年 77 巻 9 号 p. 673-676

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抄録

2002年6月から8月の間, 当院小児科で経験したエコーウイルス 13型の無菌性髄膜炎21名における臨床症状および検査所見の検討を行った.
平均年齢8.3歳で学童が多く, 発熱, 頭痛を全例に認め, 嘔吐・嘔気は軽い者もあったが, 4回以上の激しい嘔吐を呈した者もあった. 病初期の平均WBC数は8, 283/μl, CRPは平均0.8mg/dlと低く, GOT, GPT, LDHに異常はなかった. 髄液検査では, 蛋白, 糖に異常はなく, 平均細胞総数560/μl, 細胞分類は平均多核球数357/μl, 単核球数203/μlと多核球優位を示す者が多かった. 回復期の髄液細胞数と比較すると, 病初期の多核球優位の傾向が, 回復期には単核球優位に転じた. 21例中1例で髄液多核球優位, CRP 6.2mg/dlと高値を示し, さらに手足の痺れ, 過呼吸, 興奮といった不穏症状がみられたため細菌性髄膜炎との鑑別に慎重を要した. ほとんどの症例は軽症であり, 既報のエコーウイルスによる無菌性髄膜炎の臨床検査所見と大きな差異は認めなかった.

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