感染症学雑誌
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血漿中 (1-3)-β-D-グルカン測定法における非特異反応出現に関する検討
吉田 耕一郎二木 芳人毛利 圭二森 祐一朗尾長谷 靖福田 実宮下 修行小橋 吉博岡 三喜男
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2005 年 79 巻 5 号 p. 329-340

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抄録

臨床検体を用いて4種の (1-3)-β-D-グルカン測定法 (希釈加熱-エンドポイント法, 希釈加熱-比濁法, アルカリ処理-カイネティック法, アルカリ処理-エンドポイント法) における非特異反応出現状況を調査し, 非特異反応相当値に由来する偽陽性が各々の感度・特異度に及ぼす影響を検討した.材料には2002年8月から9月の2カ月間に川崎医科大学附属病院で, 血中β-グルカン値測定が行われた患者174例から採取・保存されていた血漿460検体を用いた.各診断薬の添付文書に従った通常測定系と, 安息香酸4-アミジノフェニル塩酸塩を各法の反応系に添加してリムルス反応を抑制した系でβ-グルカン値を測定し, 通常測定値と非特異反応相当値を算出した.非特異反応出現頻度は希釈加熱-エンドポイント法: 2.4%, 希釈加熱-比濁法: 0%, アルカリ処理-カイネティック法: 53.3%, アルカリ処理-エンドポイント法: 99.3%であった. また, 各測定法の感度/特異度/陽性適中率/陰性適中率は, 希釈加熱-エンドポイント法: 35.7%96.0%, 45.5%94.2%, 希釈加熱-比濁法: 286%/96.0%/40.0%/93.5%, アルカリ処理-カイネティック法: 78.6%/80.1%26.8%/97.6%, アルカリ処理-エンドポイント法: 57.1%/84.1%/25.0%95.5%であった.非特異反応の認められた3法では非特異反応相当値を補正することにより, 希釈加熱エンドポイント法: 42.9%96.0%/50.0%/948%, アルカリ処理-カイネティック法: 57.1%/91.4%38.1%95.8%, アルカリ処理-エンドポイント法: 42.9%/94.0%/40.0%/94.7%と変化した. アルカリ前処理を行う2法では, 非特異反応相当値を除外することにより, 各々10%程度特異度が向上した. 非特異反応の出現はこれらのβ-グルカン測定法の特異度が低いことに大きく関与しており, 今後の改善が望まれる.

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