感染症学雑誌
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相模原周辺地域におけるClostridium tetaniの分布調査
羽根田 淳塩原 康正乾 真美関口 朋子佐藤 義則高山 陽子菊野 理津子奥田 舜治井上 松久笹原 武志
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2006 年 80 巻 6 号 p. 690-693

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抄録

本邦において破傷風菌 (Clostridium tetani) は金沢, 沖縄, そして東京周辺に分布することが明らかにされている. しかし, その他の地域での分布調査はあまり行われていない. 今回, 相模原周辺地域を中心に民家の庭, 公道の路肩, 大学構内敷地, 山麓および畑などから土壌を採取してC. tetaniの分離を行った. 全検体 (35検体) に占めるC. tetaniの検出率は22.9%であり, それらの菌株のうち87.5%は破傷風毒素産生能を有していた.破傷風菌は相模原市の西部に位置する津久井郡から山梨県の南都留郡, 上野原市そして甲州市にかけての山間部地域の土壌中に偏って分布する傾向を示した. これらの成績から, 破傷風毒素産生能を有するC. tetaniが相模原周辺, 特に, 西部の山間部という地理的に類似した地域に分布することが明らかとなった.

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