感染症学雑誌
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バンコマイシンとテイコプラニンに低感受性を示す多剤耐性黄色ブドウ球菌による院内感染 (山形県; 2004年5月-2005年6月)
村田 敏夫大谷 勝実
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2007 年 81 巻 2 号 p. 183-188

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抄録

2004年5月から2005年6月の問に山形県内の一基幹病院においてメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) による院内感染が発生した. メチシリン耐性表皮ブドウ球菌 (MRSE) 2株を含む合計8株について, パルスフィールド電気泳動 (PFGE) による遺伝子解析および薬剤感受性試験, エンテロトキシン型別等の細菌学的性状試験を行った. その結果, 本事例は同一の多剤耐性MRSAによる院内感染であったと考えられた.また, これら8株はバンコマイシン (VCM) とテイコプラニン (TEIC) に低感受性を示していた. PCR法によりvanA, vanB, vanC遺伝子の検索を行った結果, すべての株において遺伝子は検出されなかった. 透過型電子顕微鏡で食中毒由来の感受性株と細胞壁を比較したところ, 細胞壁の肥厚が観察された.グリコペプチド系薬剤に対する耐性菌は, VCMまたはTEIC治療の過程で出現することが指摘されており, 今後も監視が必要であると考えられた.

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