感染症学雑誌
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Norovirusの代替指標としてFeline Calicivirusを用いた, 手指に添加したウイルスの速乾性消毒剤による擦式消毒, ウェットティッシュによる清拭および機能水を用いた手洗いによる除去および不活化効果の検討
森 功次林 志直秋場 哲哉野口 やよい吉田 靖子甲斐 明美山田 澄夫酒井 沙知原 元宣
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2007 年 81 巻 3 号 p. 249-255

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抄録

ノロウイルス (NV) による集団胃腸炎の予防対策に資するため, ノロウイルスと同じカリシウイルス科に属し, 培養可能であるネコカリシウイルス (FCV) を用い, ウイルス感染価と遺伝子量を指標に, 速乾性消毒剤 (クロルヘキシジン, 第四級アンモニウム塩ヨード化合物), ウェットティッシュ (クロルヘキシジン, 第四級アンモニウム塩安息香酸PHMB), 機能水 (強酸性電解水, オゾンのナノバブル水) の手指衛生効果の比較を行った.速乾性消毒剤にはいずれもウイルス除去効果はなく, ヨード化合物を含むものにのみ有意なウイルス不活化効果がみられた. ウェットティッシュでは界面活性剤を含む安息香酸およびPHMB含有品に強い除去効果と不活化がみられた. 機能水によるすすぎ洗いの効果が確認され, さらに石けんを用いることにより除去効果も強まる傾向がみられた.これらの検討から有効な手洗い方法の選択がウイルス性胃腸炎の発生予防および拡大防止策となることが示唆された.

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© 日本感染症学会
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