感染症学雑誌
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高速液体クロマトグラフィーと電気化学検出器を利用したリファンピシンとクラリスロマイシンの血中濃度測定法の臨床的有用性
滝 久司小川 賢二中川 拓二改 俊章
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2007 年 81 巻 4 号 p. 414-420

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抄録

リファンピシン (RFP) は肝臓の薬物代謝酵素活性の誘導作用を持っており薬物相互作用などが臨床上非常に重要な問題となっている.特にクラリスロマイシン (CAM) はRFPの肝薬物代謝酵素 (CYP3A4等) 誘導作用により代謝が促進され血中濃度が低下するとの報告がある. そこで, われわれは病院内に高速液体クロマトグラフィー (HPLC) とこの吸光度検出器に電気化学検出器を接続した分析装置を設置し簡便かつ迅速にRFPとCAMの血中濃度を測定した. 対象は患者血清とそれぞれの標準血清および標準品試料.本測定法と外部委託によるHPLC法およびLC/MS/MS分析法にて測定されたそれぞれの結果を比較した.その結果, RFPでは本測定法であるHPLCと外部委託で測定されたHPLCの結果との問にはr=0.975, p<0.01という強い相関が得られた.またCAMにおいても本測定法である電気化学検出器により測定した結果と外部委託されLC/MS/MS分析法により測定した結果との問にはr=C995, P<0.01という強い相関が得られた.このことからHPLCと電気化学検出器を直列に接続した本測定方法によりRFPとCAMの血中濃度を簡便かつ迅速に測定できることが分かった.またRFPとCAM併用時に本測定法を用い実際に投与量調節が可能であった. このように迅速かつ簡便に薬物血中濃度を同時測定可能とすることは特に十分でない肺非結核性抗酸菌症の治療成績の向上につながる可能性が期待され, 意義深いものと考えられた.

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