感染症学雑誌
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LAMP (Loop-Mediated Isothermal Amplification) 法によるMycoplasma pneumoniae の高感度迅速検出
吉野 学安中 敏光小島 禎池戸 正成
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2008 年 82 巻 3 号 p. 168-176

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抄録

マイコプラズマ肺炎の起因菌Mycoplasma pneumoniaeのゲノム内に存在する反復配列SDC1を標的としたLAMPプライマーを設計し, 臨床検体からの診断法の確立を目的として, 特異性および感度に関する検討を行った.設計したM. pneumoniae用LAMPは65℃の等温条件下で, 試験したすべてのM. pneumoniaeに対し, 60分以内に迅速かつ特異的な増幅反応を示した.相同性の高いM. genitaliumをはじめ, 他のMycoplasma属菌や細菌性肺炎起因菌との交差性もないことを確認した.最少検出感度は6コピーであり, 対照としたふたつのnested PCRと同等あるいはそれ以上の高い検出感度を示した. 喀痰など臨床患者検体から抽出したDNAサンプルを用いてPCRとの相関性を検討したところ, 判定結果は完全に一致した (204例中24例陽性). LAMP法は反応から検出までを閉鎖系の中で迅速かつ簡易に遂行できるため, 適切な治療判断を必要とされる臨床現場において極めて有用な診断法であると考えられた.

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