肝臓
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症例報告
抗ミトコンドリア抗体・抗核抗体が陰性で抗平滑筋抗体が陽性の原発性胆汁性肝硬変の1例
蓮井 宏樹西村 光太郎何森 晶梶 義照佐藤 明
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2005 年 46 巻 9 号 p. 563-569

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抄録
症例は41歳女性, 職場の健診で軽度の肝機能異常を指摘され受診. 肝炎ウイルスや薬物の関与は否定され, 抗核抗体 (ANA), 抗ミトコンドリア抗体 (AMA) も陰性だったが, 抗平滑筋抗体 (ASMA) が陽性で肝生検にて慢性非化膿性破壊性胆管炎 (CNSDC) の所見が得られたためScheuer2期の原発性胆汁性肝硬変 (PBC) と診断した. UDCA 600 mg/日の投与にて肝機能検査は正常化した. 無症候性で組織学的にも早期のPBCであったが, γ-グロブリン, IgGそしてAIHスコア高値から自己免疫性胆管炎 (AIC) やAIHオーバーラップ症候群との異同が問題となった. 非定型的なPBCの診断にはASMAの検索が有用である可能性があり, 今後その臨床的意義を検討する上でこのような症例を集積することが必要と考えられた.
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© 2005 一般社団法人 日本肝臓学会
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