肝臓
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症例報告
急速に進行し肝不全を呈した原発性アミロイドーシスの1例
山岸 由幸森 朱夏松本 道長中澤 敦栗田 聡多田 慎一郎橋口 明典横森 弘昭齋藤 英胤加藤 眞三日比 紀文
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2006 年 47 巻 1 号 p. 22-29

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抄録
症例は60歳, 女性. 2004年11月頃より食欲低下, 全身倦怠感が出現し, 血液検査にて胆道系酵素優位の肝機能障害と凝固系延長を認められ, 12月前医に入院した. 肝生検にて原発性アミロイドーシス (AL type) と診断され一時退院したが, 2005年1月より急激な食欲低下, 倦怠感および黄疸により同院に再入院した. 急速な病状悪化があり2月19日慶應義塾大学病院に転院となった. 転院時II度の脳症, PT33%と肝不全の病態を呈しており, 人工肝補助療法を開始し一時覚醒したが, 徐々に全身状態不良となり3月7日死亡した. 剖検所見にて, 肝は著明に腫大し, びまん性にアミロイドの沈着を認めた. 脾, 腎, 甲状腺, 副腎にも高度のアミロイドの沈着を認めた. 高度の肝障害を来す原発性アミロイドーシスは稀かつ予後不良である. 今後同様の疾患に対する早期診断と治療方針において, 示唆に富む症例と思われ報告した.
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© 2006 一般社団法人 日本肝臓学会
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