肝臓
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症例報告
C型慢性肝炎に対するインターフェロン治療中に血中AFP上昇を契機として発見された子宮体癌の1例
前川 陽子金 守良井本 勉中嶋 泰典安藤 健治齊藤 純洪 鉉寿福田 勝美音野 由美土田 忍外山 博近田中 基文後藤 直大伊藤 智雄松岡 利幸
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2011 年 52 巻 11 号 p. 716-721

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抄録

症例は64歳女性.C型慢性肝炎(genotype 2b,高ウイルス量)に対し,peg-interferon α-2b(IFN)+リバビリン治療を開始.IFN治療開始時は血中AFPは4.58 ng/mLと正常範囲内であったが(L3分画は陰性),12週・24週の時点でそれぞれ14.2 ng/mL・69.7 ng/mL,82.4%・88.8%と上昇傾向を示した.各種腹部画像検査を行うも肝内に腫瘍性病変は認めなかった.AFP上昇をきたす他疾患の鑑別のための精査をすすめたところ,骨盤腔内に径11×8×7 cmの類円形を示し一部に乳頭状の壁肥厚を伴う嚢胞性腫瘍を認めた.子宮体癌の診断にて広汎子宮全摘出術および卵巣部分切除術を施行.肉眼所見では子宮内腔全面に腫瘍浸潤があり,組織学的には中分化型endometrioid adenocarcinomaで,一部にhepatoidな充実成分が混在,同部のAFP染色は陽性であった.

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© 2011 一般社団法人 日本肝臓学会
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