肝臓
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症例報告
肝細胞癌に対するソラフェニブ投与中にStevens-Johnson症候群を呈した1例
吉岡 鉄平山田 幸則末吉 弘尚吉井 俊輔川井 翔一郎大川 雅照平尾 元宏佐藤 雅子小森 真人土居 敏明吉原 治正
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2012 年 53 巻 11 号 p. 741-747

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抄録

症例は74歳男性.造影CT,PET-CTにて診断された気管分岐部下部のリンパ節転移を伴うstage IVAの肝細胞癌(HCC)に対して,手術不能例としてソラフェニブの投与目的に入院.肝機能はChild-Pugh score 5点,肝障害度Aと良好であったため,ソラフェニブを800 mg/日で開始した.第14病日に発熱と体幹の紅斑が出現したためソラフェニブを休薬としたが,第16病日に紅斑の四肢への拡大と口唇のびらんが出現しStevens-Johnson症候群と診断された.以後はソラフェニブ休薬とプレドニゾロンの経口投与により皮疹・発熱とも徐々に改善,第31病日にはプレドニゾロンを中止することができた.Stevens-Johnson症候群は,HCCに対するソラフェニブ投与例において稀ではあるが重篤な副作用であり,頻度の高い副作用である手足症候群に加えて注意が必要である.

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© 2012 一般社団法人 日本肝臓学会
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