抄録
症例は80歳女性.近医で肝機能障害を指摘され,当科受診.AST 423 IU/l , ALT 222 IU/l ,ALP 481 IU/l ,T-Bil 6.7 mg/dl と上昇,抗核抗体が160倍と陽性,IgGが3238 mg/dl と上昇し,またIgM-HA抗体が陽性であった.自己免疫性肝炎(AIH)の国際診断基準によるスコアが12点疑診であることから,背景にAIHの存在が示唆された.またRT-PCR法で血清HAV-RNAが検出されたことよりA型肝炎ウイルス(HAV)感染の存在も示唆された.安静にて経過観察を行ったが,AST,ALTの上昇が持続していたため,肝生検施行した.結果,AIHと矛盾しない組織所見であった.その後,プレドニゾロンの内服を開始し,速やかに肝機能の改善を認めた.背景に存在したAIHの急性増悪にHAV感染が併存したと考えられる高齢女性の一例を経験したので報告する.